<URニュータウン事業>未利用地900億円売れ残り
毎日新聞 9月26日(水)2時32分配信
独立行政法人「都市再生機構」(UR)が所有するニュータウン事業の1000平方メートル以上の未利用地が全国で約220ヘクタール(約900億円)も売れ残っていることが会計検査院の調査で分かった。政府は18年度までに全ての土地の処分を決めているが、昨年度は目標の5割しか売れず、実現は極めて難しい情勢だ。URは国がほぼ全額を出資し、経営が悪化すれば国民負担につながるため、検査院は改善を求める。
◇検査院、改善要求へ
ニュータウン事業は都市部の住宅不足を解消するため60年代に始まった。
URの前身・日本住宅公団が主体となり多摩(東京)や千里(大阪)などで大規模な開発を行い、これまでに全国で281地区(約4万2000ヘクタール)が整備されている。
だが、計画通りに人口が増えずに開発が進まない場所も多く、政府は01年、事業からの撤退を決定。13年度に新規工事をやめ、18年度までに残った土地を処分することにした。
URが設立された04年時点で、売れ残りの土地は約5900ヘクタール。07年度までに約3600ヘクタールまで減らしたが、リーマン・ショック後には処分ペースが落ち、今年3月末時点でまだ約2600ヘクタールが売れ残っている。
検査院は売れ残りのうち事業用地などに利用できる1000平方メートル以上の土地に絞って全国約140地区を現地調査。うち105カ所で、敷地内にのり面が含まれるなど利用しにくい土地があることが分かった。ニュータウン中心部から離れた場所が多く、駅前など利便性の良い土地だけが売れ、他は残ったとみられる。
検査院は平地に改良するなど環境整備に努めるよう求める模様だ。
UR広報チームは「検査中の事案でお答えできない」とコメントした。
◇ススキ茂る「夢の跡」…千葉ニュータウン
千葉県船橋、白井、印西3市にまたがり東西約18キロに細長く延びる「千葉ニュータウン」。都心から北東に約35キロの巨大ベッドタウンを思い描いて67年から用地買収が始まったが開発は進まず、放置された空き地にはススキが生い茂る。
「見てください。草っ原ばかりでしょ。開発のペースが遅いし都心からも遠い。企業も人も集まらない」。地元のタクシー運転手(64)が千葉ニュータウン中央駅前に広がるURの更地を見て嘆いた。計画では2912ヘクタールに34万人が暮らし、鉄道網や高速道路が整備され「都心から近い」中核都市に発展する予定だった。
しかし、人口は伸び悩み、現在の居住人口は9万1484人(23年度末)にとどまる。URの土地は351ヘクタール(同)が売却できずに塩漬け状態。地権者の合意が取れず、用地買収が進まずに開発が虫食いになったことが低迷の一因とされる。ニュータウンを貫く北総開発鉄道(当時)がようやく都心と直結したのは、構想始動から四半世紀近く過ぎた91年だった。
松戸市から第1次入居組として移住した小田隆造さん(73)は「現実を見ないお役所仕事だったってことです。大風呂敷を広げたけれど見通しが甘かった」と振り返る。最初は抽選になるほどの人気ぶりで小田さんも大きな期待を寄せていただけに、歯がゆさを覚える。総事業費1兆1982億円の夢の計画は13年度での撤退が決まっている。
引用元: <URニュータウン事業>未利用地900億円売れ残り (毎日新聞) – Yahoo!ニュース.
悲観的な記事ですが、国の施策なんて失敗前提で始動するのが通例。
この千葉ニュータウンは住みよい町としてある程度の成功事例かと思います。