BSE被害農家:宮崎の口蹄疫被害農家に牛プレゼント
かつてBSE(牛海綿状脳症)に苦しんだ千葉県白井(しろい)市の酪農家、内藤煕(ひろし)さん(65)ら5人が、口蹄疫(こうていえき)被害が集中した宮崎県川南町の酪農家、弥永(やなが)睦雄さん(49)に乳牛1頭を贈った。千葉県の和牛品評会でチャンピオンに輝いた牛の子。大きな贈り物に「苦境を乗り越えてほしい」とのエールを託した。【川上珠実】
内藤さんは、01年に国内で初めて見つかったBSE感染牛の飼育農家。当時、乳牛47頭を殺処分し、牛舎に牛がいない状態が2カ月続いた。収入も途絶え、途方に暮れていた時、支えてくれたのは仲間の酪農家だった。風評被害で国産牛肉や牛乳が買い控えられ、農家みんなが苦しんだ時期だったが、声をかけ合い、すぐに乳が出る乳牛約30頭を提供してくれた。そのおかげで内藤さんは何とか元の生活を取り戻した。今、35頭を飼っている。
そして昨年の口蹄疫。牛の殺処分を伝えるニュースに、10年前の自分が重なった。「仲間に助けられたから今がある。『頑張ってください』と口で言うのは簡単だけど、それだけじゃ乗り越えられないほど今畜産を取り巻く状況は厳しい。口蹄疫で大変な思いをした宮崎の仲間のために何かしたかった」と内藤さんは言う。
知人を介して、口蹄疫で乳牛39頭を殺処分した弥永さんと知り合った。昨年11月、千葉まではるばる牧場を訪ねてきた弥永さんと会い「また酪農をやりたい」との熱い思いに共感したという。「将来性がある人にはいい牛を」と、えりすぐりの3歳の雌を贈った。
「口蹄疫の時に励ましてくれた人たちに牧場の牛乳を飲んでほしい」と経営を再開した弥永さんはこれまでに15頭を購入し、内藤さんからのプレゼントは16頭目。15日に牛を受け取った弥永さんは「はるばる宮崎までお疲れさまという気持ち」と笑顔で牛をなで「温かい心遣いがありがたい」と内藤さんに改めて感謝した。
引用元: BSE被害農家:宮崎の口蹄疫被害農家に牛プレゼント – 毎日jp(毎日新聞).